専門家同士をつなげる経験をしたことがありますか?

 

研究者と研究者と難しく考えるのではなく、専門性が違う人たちをつなぎ合わせる作業です。専門家同士の力を上手くつなげることで、今まで以上にチームとしての結果を残せるようになります。

 

しかし、専門性が違う人同士をつなぎ合わせる時に、専門家同士が対立することがあります。対立を防ぐために必要なことは、4つあります。「時間」「コミュニケーション」「専門性」「専門家をつなぐ人」です。

 

対立が起きやすいきっかけ

 

色々原因はありますが、専門家同士の話し合いで対立が起きたのなら、【無知の知を自覚していない】【自分とは違う意見を尊重することができない(心の余裕がない)】が考えられます。

 

それぞれについて、みていきましょう。

 

無知の知を自覚していない

 

人が記憶し、自由自在に思い出せることには限界があります。例え、1度見たら忘れないという人が居ても、世界中で起こっていること全てを知ることは不可能です。

 

例えばAさんは「スポーツ」が専門です。なかでもAさんは「サッカー」について詳しい。しかし「カーリング」については詳しくないということは大いにありえます。

 

「サッカー」について詳しいと思っていても、「日本のサッカー」について詳しいだけで「ブラジル」のサッカーについては詳しくないかもしれません。

 

「日本の」サッカーの中でも、「選手名」や「戦術」について詳しいだけで、「選手のトレーニングメニュー」については詳しくないかもしれません。

 

何が言いたいか?というと、どんなに専門家であったとしても「知らないことはある」ということです。

 

知らないことがあると自覚していれば、既存の知識以外”正しい””間違えている”と言える根拠はありません。既存の知識ですら、古いものかもしれません。

 

 

どちらかの専門家が「自分の考え方は全て正しい」と何の根拠もなしに言い張ることがあります。

 

ただ言い張るだけであれば、まだ良いでしょう。

 

「自分の考え方が全て正しい」と考える人で、他者の専門領域に口を出すことがあります。大抵、勉強することもなく、ただの経験を元にした意見です。勉強もせず、議論するのでもなく、一方的に「自分の考えが正しい」と言い張られると、もう1人の専門家は気分良いものではありません。

 

自分とは違う意見を尊重することができない(心の余裕がない)

 

勉強を行い知識をつけていたとしても、意見が異なることがあります。

 

正解のない問いには、つきものです。

 

「世界中の人が幸せになるためには、どうしたらいいか?」など、様々あります。

 

正解が1つではない問いに対して、他者の意見を尊重しようとしない人がいます。先ほどと同様に「自分の考えが全て正しい」と無意識で思い込んでいるからかもしれません。

 

他者と違う意見の場合には、「どちらか1つの考えにしなければならない」という決まりはありません。それぞれの意見を持つ理由を述べ合ったり、違う見え方ができるならその意見を述べればよいだけです。相手の人格を否定する必要はありません。

 

違う見え方の例

 

ここに四角い箱があります。

 

あなたはA地点から箱を見ています。

 

あなたには何色に見えますか??

 

 

「赤」と答える人が、ほとんどでしょう。

 

私も「赤」に見えます。

 

A地点と正反対の位置にB地点があります。

 

B地点からは何色が見えると思いますか??

 

さっ!答えは??

 

「赤」と思った人!!

 

「赤」だと思いますよね?

 

ある人は「赤」と「緑」だと言いました。

 

「緑」???

 

意味がわからないですよね??

 

さて、答えを見てみましょう。

 

 

 

正解は、「赤」と「緑」でした。

 

今回のように、箱の色が正反対にいる人には違う色に見えることがあります。下から覗いている人には、さらに「黄色」など違う色も見えているかもしれません。

 

自分の意見を持つことは大切ですが、必ずしも正しいとは限りません。

 

専門家同士をつなげるために必要なこと

 

対立が起こらないためにも「時間」「コミュニケーション」「高い専門性」「専門家をつなぐ人」が必要です。それぞれについて、みていきましょう。

 

時間

 

専門家同士をつなげるメリットとして、先ほどの箱のように1つの物事に対して多角的に考えることができます。様々な視点からとらえた意見を話す時間が必要です。

 

1人の専門家が物事をとらえ、物事を進めていくよりも時間がかかります。

 

短期的には、話し合う機会が増え、時間も取られますが、物事が大きく進むのであれば、長期的には1人よりも多数の専門家で物事を進めた方が目標達成までの時間が短くなる可能性があります。

 

コミュニケーション

 

多角的にとらえた専門家同士が、コミュニケーションをとる必要があります。ただ単に意見を出すだけでは、統合的な意見にはなりません。

 

「痩せたい」という花子さんの悩みに対して、それぞれ以下のようにアドバイスされました。

 

  • Aさん:体重の数値をみて「走りましょう」
  • Bさん:お腹周りを見て「姿勢を正しましょう」
  • Cさん:食事の写真をみて「もっと野菜を食べましょう」
  • Dさん:命の危険があると知り「手術をして胃を小さくしましょう」

 

それぞれの意見は正しいかもしれません。

 

正しくても、どれを優先付けたらいいか花子さんには分かりません。花子さんにとっての優先順位をつけることで、より短期的に「痩せる」という悩みが解決することでしょう。

 

高い専門性

 

「肩書きだけ」では、別の専門家と話し合いをすることは難しいでしょう。専門家としての知識や経験があることが必要です。

 

専門家が、高い専門性を持つことはイメージがつくと思います。専門家同士をつなぐ人も、専門家双方がもつ専門知識について最低限知る必要があります。

 

 

通訳の人を思い浮かべてみてください。

 

アメリカ大統領と日本の首相との会談で、通訳を行うとします。

 

経済や政治、会談でのテーマについての「英語」「日本語」両方の単語を知らないと通訳することができません。事前に関係する単語を調べ覚える必要があります。

 

専門家をつなぐ人

 

全くの別業界の専門家と話す時に、「専門家同士で話せる人」「話せない人」がいます。専門性がかけ離れていれば、かけ離れているほど話すことは難しいでしょう。話すために必要な専門知識が専門家同士互いに乏しいからです。

 

専門家の間に、専門家同士の最低限の知識を持っている人が居ると話せる質が高くなります。

 

また専門家が感情的になり関係を悪化させないためにも、一方が理解していない点についての説明を行ったり、専門家にさらなる説明を求めたりすることが必要です。

 

まとめ

 

「無知の知」を自覚しよう。違う見方をする人の意見を尊重しつつ、自分の意見も持とう。

 

専門家同士の間をつなぐには、「時間」「コミュニケーション」「高い専門性」「専門家をつなぐ人」が必要です。